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【西陣がつくる縁台】
西陣の路地に、西陣織をルーツに持つ家具をつくる。
ベンチ座面は、西陣織で用いられた木製糸枠を再利用して形作られている。一旦役割を終えた糸枠には独自の風合いがあり、しかも安価で大量に仕入れる事が可能。これをパーツに分解し組み合わせる事で、座面を小紋柄に構成する。座る人は、その風合いと時間経過、肌触りを体感しながら、そこに佇む事が出来る。
また座面を支える縁台の脚には、樹状構造を採用した。小さなピースの組み合わせで作られる座面は、幅広い支えを持つ事でより安定する。樹状構造が持つたくさん枝は、部材を細くすっきりと保ちながら、その課題を解決する。さらに縁台下の空間を、京の坪庭に見立てた表現とする事で、 縁台は、より西陣との親和性を強めた造形となる。
西陣に由来を持つ素材や風景を積極的に用いる事で、 この家具が、これを利用する人々にとっての共通言語になり得るのではいかと考えた。路地の風景、西陣織、坪庭・・・体感を通じて認識されるキーワードが、 会話や交流、西陣により深い愛着を抱くきっかけを生み出す。西陣が育んだ時間で作った家具が、未来の西陣の時間を育む・・・提案を通じて、そんなストリートファニチャーの在り方を目指した。
(提案書より抜粋・加筆修正)
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CP113_西陣ストリートファニチャーコンペ _【西陣がつくる縁台】 木造 W=103cm D=40cm H=44cm 意匠:菊池甫 構造:清水良太(清水良太構造デザインスタジオ)